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2013/11/24 「気づきの時」展 小酒井 基紘(絵とつづれ織り)「気づきの時」展を開催するにあたって、僕にとって、基くんが近くにいなかったら、考えることもなかったかもしれない。彼はうちの息子と同じ年だけど、堂々としていてどこで会っても「あっ!伸センセイ!」って握手してくれる。その握手は、大演歌歌手が握手で手を痛めないように、相手にふんわりと握るようにという意味をも込めて、いつもはめている軍手をおもむろに取り、そっと手を出し、ふんわりと握る。先生というのは、誰にでも付けるようで、なんだか中国の人が先輩に先生と付けるのと似た感じかな? 相手への礼儀、そしてその佇まいのあり方を彼のご両親は、本当に大切にする。ご両親の基君に対しての生き方や、社会に対しての心配りを重視するのも自分が亡くなってからも彼一人で生きて行けるようにと、毎日積み重ねで教育してきた証だと思う。特にお父さんの基くんへの想いは、愛情ゆたかで、学ぶべきことは山のようにある。 それで、この会でも、映画上映の後、お父さんにスピーチをお願いした。最初は断られたが、1/4の奇跡の本を読んで、何かを感じていただいたようで、承諾してくださった。僕がこのお父さんの話を聞きたいと思ったのは、子供のことで表に出て来るのは、だいたいがお母さんで、お父さんはなかなか出てこない。基君の場合は、このお父さんのあり方が、この子の個性を引き出しているのだと感じたからだ。 それで、どんなお話をされますか?という段で、やはり小学2年位までは、どうやってこの子と付き合っていったらいいのか?何かを話しても、おうむ返しするだけ。会社組織の中で生きているその家の家長にその事に終止していられる程、会社組織は甘くはないだろう。家族での海外赴任が続く。基君は日本人学校に行く。当然のようにいじめられる。そんな中、家族で行った中国の動物園。そこでお父さんと基君がラクダに乗った。その時、ラクダが草を食べるのに首を下げた。その瞬間、二人は前に落ちそうになる。必死に基君を支えるお父さん。それを見て基君が落ちそうになりながら、大笑いし始めたのだ。「その時、この子にも心があって、個性があると気づきました。」この展覧会の「気づきの時」のタイトルが決まった。 僕たちは基君の絵を前にすると、基君と一緒にその世界で遊ぶことが出来る。会場に基君がいたら、「ぺんぎん〜 あふりかぞう〜いんどぞう〜きりん〜しまうま〜」と絵の動物を紹介しながら、説明してくれる。僕たちは、基くんの大きくて、おおらかで、やさしくて、ゆったりしたその世界で漂うことになる。
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