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2003/3/3
子供の頃のはなし

子供の頃、僕の兄が夜中に、ふとんを抜けだし、ばあさんの家まで歩いて行き、ばあさんが連れて帰ってきたことがありました。その間の記憶はまったくなく、明らかに夢遊病です。僕はその時の兄の姿や周りの状況を想像するのですが、ばあさんの家までは、子供の足でゆうに10分はあると思うし、その間は家が建ち並ぶいわゆる下町なのですが、よく他の人に会わなかったと思います。昔は夜中起きているのは、泥棒ぐらいだったのかも知れません。そのことがおきてから、みんな一応に兄に対して、底知れない人間の不思議を感じるようになったような気がします。僕は、いまだにそれが拭い切れていないのかも知れません。しかし、この貧乏一家に「人間の不思議」を持ち込んだ功績は大きく、生活苦の他にも、人生のいろいろがあるという楽しさを、みんなが感じていたような気がします。みんなその話に触れるとどこか微笑んでいたような気がするからです。(先程、兄に確かめてみましたが、やはりその間は何も憶えていないようです。小学校の3年生ぐらいのことらしいです。)



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