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2012/9/11
今日朝福島から帰った。東北道をひたすら北に走って行くと、一面の稲穂が黄金のように光り、この国の豊かさを実感する。この国は米の国だということ、そして、美しい川が流れ、素晴らしい景色。 しかし、飯館村の看板を超えたと同時にその田んぼは雑草地に変わる。その切なさは、稲を育てている者にとっては、どれだけ辛いことかは、当人しかわからないことかもしれない。しかしこんな僕でも、その光景は胸に突き刺さり、涙が止まらなかった。取り返しのつかないことをしてしまったんだと思う。 それから、飯館村の役場に行くと、立派な建物に数人の人影。役場の線量計は0.76マイクロ。「ここはまだ低いです。昨日取材した人の所は、人が近寄ることもできないホットスポットがありますよ」と映像作家の諸沢君。 それから、南相馬の小高地区に行く。そこは、津波被害のままの家々や、商店が手つかずのまま残っている。避難区域から外されたことで、そのままの姿があった。そこで、写真を撮っていると、パトカーが折り返しての職質。事情を話し事なきを得るが、ドロボーが横行しているとのこと。 とにかく、ここの光景は、神の仕業とは思えない。ここで二千人以上の人がなくなり、帰ってくることも出来ない。しかし、今は線量が下がったので、戻ってもいいと国は言うが、ここでどうやって生活しろというのか?と思う。それでも、所々に家が建て替えられて住んでいる人もいるが、それは、逆に異様な光景。昔見た映画で、核戦争の起きた後の風景に似ている。 そこから、地震で家の壁が壊れたから、直しのアドバイスをして!と友達から頼まれ、6号線を北に、相馬市に入る。そこでは、福島の野菜、魚、お米とにかく沢山の食材をごちそうになる。しかし、一言も放射能の話は出ないし、出せないというか、それが、普通なのだ。 その友達の友達の家のご主人は年老いたお母さんが心配で埼玉から戻ってきて、仕事がないので、除染作業に行く。1日、日当1万2千円。除染できないのはわかっていても、やらなければばらばならない。今は、火力発電のケーブル作業。それが、終わったら飯館の森林除染だそうだ。森林除染てどうやるの? この国の矛盾がすべてここにはある。僕は、福島に行って、良かったと思う。どうしたらいいかなどと、結論は出せない。結論はもっともっと先の話なのだ。 ただ今は、生きていくことが大事なんだと思った。
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