TOP

 

2012/5/27

ネコマチッタから子ども達へ

この映画は、大人が子ども達に贈るメッセージである。

今、原発の再稼働を考えている政治家は、本当に子ども達に教育という視点から、メッセージを伝えられるのだろうか?
私は教育の専門家ではないが、3人の子どもを育てた父親である。教育とは、自分達の理想や理念を子ども達に語り、伝えていくことだと思っている。子どもの頃見た記憶や、聞いた物語が、今の自分の中にあるように、たとえそれが、現実には、不可能なことであったり、困難を極めることであったとしても、その理想の方向を示していくことが、大切なことだということを、伝えることではないだろうか?

この映画では、ヒーローはいない。確かにブラックエボニーはスーパーニャントリウムを町に導入した責任を取り、島に一人残る決意をする。そして、一人かたくなに、その責任を全うする。こんな政治家がいたら、この日本は本当に変わっていただろう。しかし、ヒーローではない。あえてヒーローにはしなかったというのが、正しい。それは、脚本家の小林さんの最後まで譲らなかったところでもある。見事にこの箇所は、脚本家の意志が最後までつらぬいて正解であった。この物語をヒーロー物にしたくないという、彼女のこの物語に掛ける想いでもある。それも、子どもへの大きなメッセージに繋がっていると思う。

そして、ヘムロックが電気が消えて、広場に集まってきた猫達に語る。「簡単ではないが、みんなで考えて、知恵を出し合って、新しいエネルギーを考えればいい!」そして、今迄ネオンが明るすぎて見えなかった夜空に、いっぱいの星と流星。自分達が大切なことを、見失っていたことに気づく瞬間である。この場面は、観ている子ども達も、この映画が何を伝えたいかを考える場面である。

僕達は、今、本当に大きな岐路に立っている。今、このまま原発を再稼働して、また地震や津波、もしかしたら、人為的な大事故を起こしてしまったら、この日本は立ち直るどころか、再生不能になるだろう。日本人はこんな本当に恥ずかしい民族だったのだろうか?

もう一度、教育の視点に立って、このことを考えてほしい。偉そうにものを言ってる政治家のみなさん。あなた達はブラックエボニーのように責任を負ったのだろうか?そして、理想や理念を持って、子どもに本当に大切なことを伝えられるのだろうか?この映画は、大人から子ども達に贈るメッセージである。

/