2003/8/20
子供の頃のはなし
僕の住んでいる家の二階にSクン一家が越してきました。前は大家さんが住んでいたのですが、大家さんは、息子さんを大学に入れるために、裏の小さな納屋のような所に越して、二階を人に貸したのです。一つの屋根の下に3世帯がひしめき合って生活していました。でも、そんなのはたいして珍しくもなく、あたりまえのように思っていました。しかし、Sクン一家は、結構横着だったのです。Sクンのお母さんは、うちに電話を借りに来ました。そしていつも10円玉を電話代に置いていくのです。それから何回も何回も電話を借りに来ていました。そして、ある日電話代が、急に高くなっているのに、母が気付きました。調べてみると、Sクンのお母さんは、広島にかけていたのです。母は小さいばあさんに相談しました。そして、そんなある日、Sクンのお母さんがまた電話を借りに来ました。気の強い小さいばあさんが言いました。「ちょっとSさん、あんまりやないの。そんなんやったらもう電話貸せしませんで〜」それからSクンのお母さんは、真っ赤になって二階に上がって行きました。それからもう電話を借りにくることはありませんでした。そして、何日かして、Sクンの家にも電話局が来て電話線を引いていました。小さな、一つ屋根の下に電話線が3本引かれたのです。
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