2003/2/21
子供の頃のはなし
子供の頃小さいばあさんと大きい婆さんの家に犬がいました。もともとは野良犬で、かわいそうだから残飯なんかをあげていました。大きい婆さんはこの犬を「フク」と名付けすごくかわいがっていました。そしてある朝、僕が集団登校の集まる場所で待っていると、野犬狩りの車(※1)が来て、二人のおじさんが、長いロープのようなムチのようなものを持っておりてきました。そこに運悪くフクが来たのです。おばあさんの家から食べ物をあさりに来たのでしょう。僕は「フク逃げろ!」と叫びましたが、もうフクは腰がすくんでしまい、すぐに捕まり檻の中に入れられ車で連れていかれました。あっという間の出来事でした。僕はすぐ家に帰り「フクが捕まちゃったよ〜」というと、母は困った顔をして「おばあちゃんに言っておくからあんたは学校に行き!」と言われました。学校が終わり、急いで帰ると「フクは?」と聞いても母も小さい婆さんもキツイ顔をして無言です。フクは見捨てられるんだとその時悟りました。僕はおなかの中で「この家に福なんて絶対やってこないぞ!」と思いました。(今考えると僕の家は父の仕事がうまくいかずその日暮らしの極貧で家も間借りだし、祖母達の家も貧乏で、市場の管理人の部屋だし飼えないと判断したのだと思います。)それから大きい婆さんの家に行くと、家の外にも聞こえる大きな声で、お経を唱えている大きい婆さんの声が聞こえました。(※2)
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