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2003/10/8
旅猫

今日、昔の友達から電話をもらった。奴は昔十代の頃から無茶苦茶ギターがうまくて、そのうまさに大人たちも舌を巻いたものだった。でも奴はそのことで、ちっとも鼻にかけたり、自慢したこともなかった。ただ周りの奴らが奴のギターに付いていけなくなってしまった。そして、バンドのメンバーも彼から離れていった。奴はそのことが一番辛かった。そのうち奴は、酒に溺れ、人生の渦に沈んだ。奴は人生の岐路に立った時いつも僕に電話をしてくる。「ただ声が聞きたくなった」と言って。「少し浮上したかな?」って今日は思った。でもまだ旅は続けると言う。今年はタイかインドに行くという。旅の猫は今日も自分の心を癒すためにギターを弾く。



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