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2003/1/11
クリのはなし

私たちがこの土地に越してきてもうかれこれ10年以上になるけれど、最初は本当に貧乏で(今でもたいして変わってないけど・・・)掘っ建て小屋のようなプレハブと大きなクリの木しか建っていませんでした。 そして、秋になった頃に、ひもじい暮らしの中で空から栗の実が山のように落ちてきたのでした。食物がふってくることほど人間の気持ちが豊になることはありません。私たちにとってどれほど勇気づけられたか。そんな中で近所の車屋さんの駐車場に捨てられていた猫がクリです。一昨年に肺気腫で天国に召されましたがこのラッキーな猫をクリと名付けみんなで大切にしました。私もこんなに猫を宝のように思ったことはなく、さわったり抱き上げたりする時もそーとやりました。クリに怒ったこともないような気がします。そしてクリは特殊な香りがしました。野の香りです。生まれてすぐに捨てられ、野生の感だけで生き延びてきたからでしょう。神々しいまでの気品を感じました。




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